総 評
総評 自分の中の「生徒」と「先生」のバランス
第45回級段位審査会は、1部、2部とも、午後の時間帯で行うという、初めての試みでしたが、皆様のご協力のもと、無事終了しました。
いつものことながら、初心者、初級者の屈託ない動きには、心が洗われます。もちろん、始めは誰でも初心者です。
中、上級者の人たちも、一度、自分がリズミック・カンフーを始めた頃のレッスンでの心持を、思い出してみましょう。その頃と今と、何が変わってきているのか、想像できますか?
最初は、右も左もおぼつかなかったものが、少しずつ形や意味が分かってくるとやがて、「自分で自分を判断する目と心」が、芽生えてきます。
この芽生えも始めは、先生から言われたこと、そのものです。
しかしその芽がさらに成長し、自分で言葉をしゃべるようになると、気をつけなくてはいけません。
始めは純粋に「生徒として行っていた自分」の体の中に、もう一人「先生としての自分」を同居させることになります。
もちろんこうした心の働きは、人間として当然であり、成長の表れでもあります。
ただ、この「自分の内なる先生」が大きくなりすぎると、それは主客転倒です。この傾向にあると思われる人の動きは、どうも精気が薄く感じられます。
長く続けていると、壁にぶつかっていると感じたり、伸び悩んだりする人がいるようです。でもそれは、きっと自分の中の「先生」の方が感じたり、悩んでいるのでしょう。
それを何とか超えようと思えば思うほど、内なる「先生」は、「生徒」としてのあなたを、大きく支配するようになっていきます。
そんなときは、是非「生徒としてのあなた」を、「先生としてのあなた」から解放してあげてください。長く続ければ続けるほど、「内なる先生」は控えめでなければなりません。
始めたばかりのときは、何一つ思うように出来なかったはずのあなたが、ここまで来ているのは、「生徒としてのあなた」であって、「先生としてのあなた」は、それを補足しているに過ぎません。
健康維持も、技術向上も、伸び伸びと精気に満ちた「生徒としてのあなた」が主人公なのです。
リズミック・カンフー創師 岸 俊和

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